ワーホリで経験した写真には写らない世界一のキラキラ
クリスマスということで、今回は、ワーホリで経験した貴重なキラキラ体験の話をします。
ワーホリで経験した写真には写らない世界一のキラキラ
”Why are you crying? Are you OK?”
キラキラに囲まれた瞬間、涙があふれ出た。
子供の頃(90年代)、うちにはプレゼントという明確な定義はなかった。サンタがこっそりやってくることも、あからさまにやってくることもない。誕生日プレゼントという概念すらおぼろげだった子供にとって、クリスマスにほしい物をもらえるというコンセプトは謎でしかなかった。
もちろん木造2階建の部屋にツリーが飾られることもない。2階建ての木の家に暖炉とツリーがあったらロマンチック…って。いやその木の家じゃなくて、10世帯がギュッと居住する2階建て、まだトイレが様式化すらしていない木造アパートの方だから。
それでもスーパーの特売テリヤキチキン(骨付き)とケーキは食べさしてもらったので、クリスマスというコンセプトは、うちにも明確に存在していた。
その結果、サンタさんが来るよなんてイベントをやってる家は寒いと思う、そんな子供に育った。たかがクリスマスプレゼントを買うために、親に仕事をハッスルされたらありがた迷惑だわ、とまで思っていたのさ。
でもアメリカ映画をテレビで見るたびに、ツリーの下で包装紙をビリビリに引き裂くブロンドの子供を見て、これはリアルなのだろうか?と不思議でしょうがなかった。日本のクリスマスプレゼントもこんなノリなのか。いや、さすがに日本はビリビリはやらないだろう。そもそも日本の家にはツリーがあるのか。あるのだとすれば、どれくらいの大きさなのか。
年始に友達にあう頃はもう正月ムード。結局よその家のクリスマスがどんなものなのかは、謎に包まれたままだった。
なんにせよ、2学期の終わりにサンタさんが来る来ないという話をする子供たちをみて、くだらない話をするな~と思っていた自分(てかお前も子供)。大人になってからも、ディズニーランドを夢の国だと思っている20代を見て、いやいや、入場料だけで1万以上取る夢の国ってどやさ、と思う夢のない20代へと成長した。
クリスマスもディズニーランドもアホらしいわ、と思っていた子供が、他の子供たちと同じように楽しめたもの。それは街頭のクリスマスツリーとイルミネーションだった。毎年あのキラキラをみながら、これは誰にでも与えられる自由と平等の権利なのだと感じ始めていた。実際は、毎年激化するマーケット戦略に過ぎないが、特にその経済効果に含まれてない家庭の子供にとって、街頭ツリーは平等のシンボルになっていった。
20代を過ぎ大人(まだ脳は発達していない)になっても、クリパやプレゼントという概念をイマイチ理解できずにいた。人の財布や恋人事情とは関係なしに訪れるクリスマスの強引さに疑問を抱きつつ、すでに棚に並ぶケーキには罪はないことを知っていた。自分のポジションを確認するかのようにコンビニの売れ残りケーキで心を満たす。
それでもいつのまにかクリスマスは、私にとって最もお気に入りの年間イベントになっていった。街頭のキラキラは年を増すごとに大袈裟になり、ツリーは色やスタイルを変化させ、現実と理想のギャップを広げ続けた。
いつごろからか、大阪の梅田スカイビルでドイツのクリスマスマーケットが開催されるようになった。無料で誰でも入場できることから、クリスマスマーケットもまた、私の中で平等のシンボルになっていった。
世界一のクリスマスツリーを見てみたい。ただその思いだけでドイツへワーホリしようと決めた。ドイツのことなど何も知らないので、グーグルの航空写真を見て、ただ屋根の色が赤いからという理由だけでミュンヘンへ向かった。この直感はどうやら間違いではなかったようだ。
プラハの「Old Town Square」でキラキラに囲まれた瞬間、ボロボロ涙があふれ出た。
”Why are you crying? Are you OK?”
“It’s just so beautiful. I’ve never seen beautiful things like this before. It’s like a dream. I’m in my dream. Or, is it even real?”
“Yea, it’s real. It’s the real world. Very beautiful isn’t it? But not much carrying through.”
“It just took me so long to come here. In Japan, something makes me sad about the country and Christmas is about money and feels fake. In Australia, it’s all about exploitation. Here in Germany, even my own people treat me like I’m nothing.“
“Yes, I know, life sucks like that. But you came here by yourself. I thought you were crazy the first time I met you. A Japanese girl who barely speaks English and no German at all. And sleeping in a bunk bed with a bunch of strange guys in that cheap hostel. But I’m glad you did it.”
“I know I’m “a bit ” crazy though. But I just wanted to change my life. I really need to change something. I’m just so grateful to be here. This is the most beautiful thing in my life. And it’s free. Even I could afford it. Without a Working Holiday, I could have never done it. ”
コンビニケーキもなければ、高い入場料も、醜い電線も、赤いサンタもいない。一面のキラキラに囲まれた瞬間だった。※残念ながらスタバはある…。
結局、世界一高いツリーを訪れることはなかった。プラハ「Old Town Square」を訪れたその日、世界で最も美しいキラキラを体験した。それ以上は存在しない。
ワーキングホリデーにキラキラを求めてはいけない
正直なところ、人生のどの瞬間にキラキラが訪れるかはわからない。キラキラな瞬間は、狙って得られるものでもなければ、頻繁に訪れるものでもない。ワーホリがそう教えてくれた。
最新型のスマホカメラで「今ドイツの世界一有名なクリスマスツリーの前にいまーす!ひゃはッ」なんてSNSにアップしたところで、そんなキラキラはシャッターを押した瞬間にデジタル化されて色褪せる。
キラキラは探しても取り繕っても意味がない。現状を変化させるために、前に進むしかない。
”Merry Christmas and a Happy New Year!”